社内研修レポート
“絵とき研削加工基礎のきそ”を読んで
(日刊工業新聞社発行---海野邦昭著)
K・S
特に気になった事項は以下5件です。
1.通常の切削工具のすくい角はプラス、切削砥石の砥粒切れ刃のすくい角はマイナスであり、加工特性に大きな差異を生じる。
考察
背分力に摩擦係数を掛けると摩擦力となり、すくい角がマイナスの研削加工は背分力が大きく同時に摩擦力も大きいと言えます。発熱しやすい加工をいかに発熱を抑えて加工するか工夫していきたいと思います。
2.研削時の熱的損傷の発生に対応する保持時間に関係するには、砥石と加工物の接触弧であり、接触弧の長さを砥石周速度で割った値が加工物の加熱時間となる。
考察
切り込み量を大きくすると接触弧は大きくなりますが、砥石周速度を下げれば加熱時間は抑えられます。ということは加工速度を上げつつ、発熱を抑えられるということでしょうか。又、仕上がりにどのような影響があるのか様々な条件を試してみたいと思います。
3.砥石は周速度が高いと結合度が硬く作用し、周速度が低いと軟らかく作用する。
考察
砥石が小さくなってくるとドレスや研削時に砥石がもろくなってきたように感じる時があります。回転数が一定のまま円周が小さくなり周速度が落ちるので、上記の作用が働いているのかと思います。インバ-タ-の回転数制御によって作用の具合を調整してみたいと思います。
4.研削時に摩擦し先端が平滑化した切れ刃に破砕が生じると再度鋭利化し、切れ味が回復する。しかし、破砕が過度に生じると摩擦量が多くなり、研削比が小さくなる。
考察
荒加工の段階では切り込み量を増やし、自生作用を促しながら加工していきますが、極力ドレッシングの回数を減らし経済的かつ効率の良い加工を目指したいと思います。
5.砥粒と砥粒の結びつきの強さは結合剤率すなわち結合橋の太さに依存し、結合剤率が高く、結合橋の太い砥石ほど結合度が高くなる。
考察
結合橋が太いとチップホケットは小さくなり、また自生作用も起きにくいので、ドレッシングなど条件を変えてもやはり目詰まりし易いままなのかと思いました。各砥石の特性を適材適所に把握し、スキルアップにつなげたいと思います。
“はじめての金型技術”を読んで
(株式会社工業調査会発行---松浦甫篁,小松道男著)
S・S
この本を数回読み通して、自分自身金型業界に9年間程携わってきたが、、A・本の冒頭の基本的なところで再確認できた部分と、B・一加工者としてスタートラインに立った現在の視点から勉強になった部分とに、大きく分けることができる。
A・本の冒頭の基本的なところで再確認できた部分
1.金型の種類
2.金型製作のおおまかな流れ
3.図面の読み方
4.金型材料や部品のコスト
5.基礎的な金型の構造
B・一加工者としてスタートラインに立った現在の視点から勉強になった部分
1.金型製作における様々な工作機械の役割
2.時代的重点の変化
3.工具や保持具の多様性、選別の重要性
4.CAD、CAMの金型製作の中での位置づけ
5.これからの生産現場の展望
様々な面で日進月歩の勢いで進歩していくこの業界で、33歳という年齢でやっとスタ?トラインに立った自分にはかなり焦りがある。並大抵の努力ではついていけないだろうと身が引き締まる。今後業界のスピ?ドについて行く為には、情報の氾濫する中、自分の現時点での立場を判断し、身につけなければいけないもの、あるいは情報として知っておくだけに留めるものを瞬時に整理する能力も培い乗り切って行きたいと思う。
“絵とき切削加工基礎のきそ”を読んで
(日刊工業新聞社発行---海野邦昭著)
A・K
読んで分かった点
・切削加工とは→工具、工作機を用いて工作物から不要な部分を取り除き所要の形状、寸方精度、表面粗度に仕上げる方法
◎切削現象
◆切削時の温度 ― 切削時の発熱により切削温度は高くなる
高温、高圧に耐えられる工具材料が必要
◆切りくずの着色 ― 熱により切りくずが酸化しテンパカラ?が生じる
○低わら色 茶色 紫色 青色○高
◆鋼成刃先 ― 工作物の一部が工具の先端に体積し刃先の働きをする物
工作物の面が梨地の面は構成刃先が付着、光沢面付着無
◆切削工具の磨耗―切削速度を高くすると磨耗が速く進行(工具寿命が短い)
◎工具材料
◆工具材料の具備条件 ― 耐磨耗性の高いこと
耐欠損性の高いこと
高温特性に優れていること
化学的に安定していること
安価であること
◆切削工具に要求される特性 ― 硬い、強靭、化学的安定
↓
CBN(高温硬さで最も優れている)
↓
鋼材の切削に用いる
高速で切削が可能だが強靭性が低いため衝撃に弱い
鉄との反応がないので焼き入れ鋼材の切削も可能
◎切削工具
◆バイト(ろう付け、スローアウェイ、ソリッド)
作業目的に応じて適切なものを選択する
◆正面フライス(くさび止め式、ネジ止目め式)
平面削り、直角段削りに用いる
◆ エンドミル(用途に応じていろいろな形状、寸法のものがある)
・ エンドミルによる切削加工
(溝加工、すみ切削、外周切削、穴あけ、倣胃切削)
加工形状、作業目的に応じて形状、寸法を適切に選択
・ エンドミルの刃数
少ない→排出能力が高いが剛性が低下
多 い→剛性が高くたわみが生じにくいので
加工精度や表面粗さが良好
・ エンドミルの刃先形状
スクエア…溝加工用
ラジアス…
ボール …形彫りのならい加工、コ-ナ-ア-ル仕上
テーパ …勾配加工用
・ ドリル
ねじれ角を大きくすると切れ味が良くなり抵抗が小さくなる
汎用ドリルでは約30°
先端角通常118°硬質の材料→○大 軟質の材料→○小
逃げ角6から15°○少→切削熱により焼き付が生じる
○多→刃先が弱くなり欠けやすい
☆シンニング
ドリルの心厚をうすくしスラスト力を軽減
↓
工作物への食い付きがよくなり切りくずの排出性もあがる。
“高速ミ-リングの基礎と実践”を読んで
(株式会社工業調査会発行---松浦甫篁,安斎正博著)
K・I 加工精度
一刃当たり送り量を大きくした方が加工誤差は小さくなる。これは工具磨耗が減少するためである。
形状の小形化に伴いますます高速ミーリングが重要になってくる
工具では振動を制御する工具形状、工具剛性の確保が重要。
工作機械側では超高速の主軸、微細形状でも俊敏な加減速度を有するマシニングセンターの
開発が重要。
高速送り加工における最適工具経路の生成が重要。
ボールエンドミルのように中心刃を有する工具の高速ミリングでは、中心刃付近の実切削速度は低く、切削時に発生する
熱も逃げにくくなり、焼きつき 切れ刃の損傷の危険がある。
そのため 中心刃付近の切れ刃の形状 設計が重要でもあり 今後の課題でもある。
CBN工具の特性と性能
CBN工具切削特性は、 CBN含有率、CBN粒径、バインダの種類と、含有率などで変化する。
例えばCBN含有率が高いと、耐摩耗性は向上するが、靭性は低下するため、エンドミルなどの切削工具では工具の切れ刃形状、切削条件などに十分配慮が必要である。
HRC60を超える高硬度鋼材を毎分2000Mを超える超高速切削による高精度な切削が可能であり、また急速に磨耗する、切削速度領域は 未だ確認されていない。
工具磨耗
切削加工のトラブルの要因は工具の損傷で 損傷は磨耗と破壊に大別できる。 工具の究極の姿は
どんな被削材をどんな切削条件でも削っても工具刃先の形状が一定に変化して、切削抵抗や切削温度の変化が少ないことである。 実際には、切削時間の経過に伴い工具刃先の形状は、大きく変化し、切削中の応力 温度も絶えず、変化して、一定に保たれない。 現状では コーティングの向上により、磨耗 破損もかなり制御できるようになってきた。しかしこの問題が完全に解決されることは、不可能である。
CAD CAM
高速ミーリングは工具の切れ刃に一定の負荷が加わる切削を行うことが基本である。
また 高能率切削 安定した切削 工具寿命の長い切削などが必要条件
この条件になるべく沿って加工するにはCAD/CAMによる工具軌跡の作成である。
CAD/CAMに対する高速加工の条件は
1 CADデータからの読み込みエラーが少なく読み込み時間が少ないこと。
2 工具軌跡データ生成における工具軌跡落ちなどのエラーをなくし、かつ計算時間の短縮が可能なこと。
3 実切削時間が短い工具軌跡が生成できること
その条件を満たすCAD/CAMが必要である。
高速加工において、加速度性能の高い加工機を使用する場合 渦巻き軌跡より往復軌跡のほうが
加工時間が弱冠短縮できる。(加工形状にもよる)
切削パスにおいて(ボールエンドミル)なるべく中心刃切削を避ける工具軌跡の設定(トロコロイド軌跡 ヘリカル工具軌跡)が安定した高速ミーリングができる。
CAD(モデリング)作業において 不要な穴、形状の削除することにより、CAM作業の簡素化、スムーズな工具軌跡が作成できる。
“高速ミ-リングの基礎と実践”を読んで
(株式会社工業調査会発行---松浦甫篁,安斎正博著)
H・O
切削による金型の3次元形状加工は一般にボールエンドミルが使用され切削後の表面粗さは近似的に(ピックフィ-ド*ピックフィード)/(8*工具半径)で表される
コアの加工は高速ミ?リング、シャープエッジ内コーナーや微細加工は放電で、というような組合わせも重要
切削加工は工具が工作物に塑性変形を生じさせて切りくずをせん断変形によって生じさせる、そのときのせん断ひずみは、すくい角によるせん断に表され、それが大きくなるほどせん断ひずみは小さくなる
工具の全磨耗量は、衝撃による磨耗+引っかき磨耗+温度支配磨耗などの磨耗量の総和で与えられる
ボ?ルエンドミルでは断続加工による初期欠損も低速では起こりうる
コーティング層が高温によってダメージを受けたり、温度上昇に伴う被削材の軟化によって硬い粒子による引っかき摩擦も生じる
逃げ面摩耗 ― 定常磨耗であり最も安定した切削
すくい面磨耗 ― 断続加工では切りくずが常に分断されているため顕著にみられず
塑性変形 ― 刃先エッジの膨れは高温化、形状変化、切りくず流れを変化させやがて破損
境界磨耗 ― 酸化によるのが主原因
サーマルクラック ― 加熱、冷却の繰り返しによる疲労破損、熱伝導率の小さい工具で
起こる
機械的疲労破壊 ― 衝撃の繰り返しによるもの
チッピング ― 刃先が小さく欠損、工具硬粒子が表面から脱落
欠損 ― 切れ刃の終局、すくい面側の欠損も助長する
構成刃先 ― 切削速度を上昇させる
小径工具を用いた際に摩擦を減少させるためには周速の低下を防ぐ
・水溶性クーラントの適用は熱衝撃を増大させサーマルクラックを招き継続加工では有効な水溶性クー ラントの適用は難しい
・オイルミスト供給は切りくずと工具すくい面、逃げ面摩擦部と被削材間の摩擦低減が期待できるため 工具寿命を延長させる
・流れ形切りくず ― 切削抵抗の変動が少なく良好な仕上げ面粗さ
・せん断形切りくず ― 脆性材料や低熱伝導率の材料に多く凹凸
・形切りくず ― 延性が高い材料の際、工具すくい面に溶着しやすい
・亀裂形切りくず ― ねずみ鋳鉄などの脆い材料で発生、分離した切りくず
・高速ミーリングでは被削材による影響よりも加工条件の最適化に留意すべき
・切削方向の違いによる面粗さへの影響はさほど考慮しなくても良い
“絵とき切削加工基礎のきそ”を読んで (日刊工業新聞社発行---海野邦昭著)
T・M
日本の機械生産高→30から40% 工作機械90%以上→NC
NCは切削知識・経験がなくとも加工ができるが、データベースを理解できて生きる
加工計画
金型→中心部を入れ替える(QDC方式という)
少量加工でも汎用キ加工→少
放電加工、レーザー加工、ワイヤ-加工・時間とエネルギ-大・・・無人加工
設計…受注…条件…加工機械…工具…加工
市販のものは容易だが鋳造、鍛造、溶接がいる時は時間を要する
剛性…小物…小型機械 ・ワークが安定している ・工具に剛性がある
・剛性が安定につながる
切りくずを工具から取除く…寸法精度に影響する
ビビリ、振動は摩擦、欠損につながる
荒削りと仕上げに分ければ工具磨耗に影響する
切削送りを上げ、表面粗さが低下し、機械に無理がかかっては、向上しない(問題外)
ボール盤→直立、卓上、ラジアル、多軸
ドリル→中心に近い程すくい角は小さくなり中心部では負になりシンニングをとり、切れを良くする。ねじれ角は27°軟質非金属は35°硬くもろいものは13から18°
・切りくずは扇形か、せん移切断形(円錐螺旋形)→処理がよい
先端角は118°合金鋼などは118から150°
先端角検査する道具をつかう 冷却しながら落としていく
・アルミ直溝ドリル、油穴付ドリル
スリーブは多く組み合わせない できれば1個にする
・傾斜面へは平面削り、センタをあけてから穴開けする
・交差穴は大きい穴を先にあける
・高硬度の耐熱合金などの穴開けは超硬ドリルであける
・リーマーはハンドリーマーと機械作業用がある
フライス→横タイプ・・・アーバーに刃物をつけ加工する。需要は少ない
立てタイプ・・・超硬で高速切削が可能
ヘッド型・・・テーブルが安定、内型は重切削可能
チップを付けた工具をスローアウェイ工具とよぶ
・・・直径から切削速度→回転数を決める
・・・送りは1刃あたりを基準に刃数をかけて算出する
・・・値が大だと機械的、熱的な衝撃が大、小さいと寿命が短
0.05から0.2mm/1刃程度
エンドミル→ねじれ方向 ・右、左がある
・度の強弱がある
・標準は30度程度 40?60度もある
スクエア、ボ?ル、ラジアスなどあり
ほとんどダウンカットで加工する 食い付きがよく安定している
溝加工は4枚以上は適さない
ボールエンドミルはS字形(切削性はよい)I字型(丸み精度はよい)
能率を上げるには送りより切り込みを大きくした方が有利といわれている
マシニング→ATCホルダはドイツで二面拘束型ホルダが研究された
NC加工の効率化は段取り作業がすべてといってもよい
ボーリング→ボーリングバ-はNC用ではなく手作業用
バ-の剛性不足による自励振動…ビビリ、切込み小、送り大でビビリ小になる
ブローチ盤→内面切削のバラツキが少なく、能率がよい
葉切り加工→ホブ、ラックの工具で削る
切削理論→亀裂形切りくずは切込み大、速度遅いときでる
むしれ…アルミ、銅にみられる。油を使う、速度をあげると解決
せん断…工具の切れ味が悪い
康生刃先→展延性のある材料を切削すると変質硬化して付着する。面を悪くする。寸法精度も悪い
刃先の表面も剥離させる。臨界温度以上になる切削速度で加工すると付着しない
抵抗→材質により抵抗が違う
熱 →切削し切りくずが排出される際、摩擦熱が発生する
熱は切りくずとともに持ち去られる。工具とワークに伝わる
切りくずがきつね色=600℃ 紫=800℃ 青白=800℃以上 条件が過酷
工具磨耗→材料中の硬い粒子によるもの、衝撃による欠損、熱による構成刃先で酸化し、磨耗熱に よる衝撃で欠損する
切削油→切削熱を吸収しワーク機械の熱膨張を抑える
工具すくい面とくずの間に侵入し摩擦を減少
極圧添加剤の入ったものは反密着作用が大きく良好な仕上げ面になる
油性向上剤…摩擦を減らす。100から150℃を超えると効果がない
極圧添加剤…塩素化合物・硫黄化合物などをいう
塩素系はダイオキシンを発生させる
水溶性油→冷却作用が大きい、潤滑作用は劣る
工具材料→超硬⇒サーメット⇒セラミックス⇒ダイヤモンド⇒CBNと発達した
硬さとじん性は相反するため両方備えるのは理想だが先のこと
ハイス…ハイスピードスチールはじん性にすぐれバイト、ドリル等に使用
Tinコーティング…ドリルは2から3倍の寿命になる
超硬合金→硬質の金属化合物からなり、主成分が炭化タングステンであるもの
サーメット→硬質の金属化合物からなり、タングステンの少ないもの
コーティング→TiC、TiN、TiCN、Al2O3などの耐熱性の高いものを被覆し耐磨耗性を付加したスローアウェイチップに使われる
セラミックス→アルミナを添加して焼き固めたもの(白セラ)とこれに炭化物を添加した(黒セラ) じん性が欠点だが欠けが少なくなる様な処理が市販品にはされている
CBN→ダイヤに次ぐ硬さHK3200を持つCubicBoronNitride立方晶形窒化酸素を焼結したもの。焼入れした材料の切削に向いている。軟らかい材料には効果が認められない
小物部品加工→回転数が高くなるので機械が安定するまでの寸法変化に注意する
鏡面加工→0.08?0.05μmの表面粗さで鏡面になる
精度、粗さ→仕上げ面が悪いと機能上支障がなくとも商品価値を低下させる
材料別加工→HRC63-65はCBNで加工できる
ステンレス→粘り、引張り強さが強靭、加工硬化する、熱伝導率が低い、溶着力が大きい
チタン→比重が小さく軽いく強度が高いが高価、切削面に付着する、切削油は油性、発火性がある
消火対策→発火部分を分離し、延焼を防ぐ、消火剤は乾燥した砂や溶解フラックスを用いる